ヒント6 - 内装の制限

室内の壁や天井などの「内装材」として、使ってはいけないものがあるのを知っていますか?

建築基準法では住まいが安全で健康的な場所になるよう、内装に使える材料を制限しています。
ガスコンロのあるキッチンなど、火を使う部屋の内装には燃えにくい素材を使わなくてはいけません。建築基準法では、制限を受ける範囲や箇所と、使ってよい仕上げ材が定められています。
また、建材から発散される化学物質は「シックハウス症候群」引き起こすひとつの要因であるため、内装材に使える素材が制限されています。

内装材

事例

子どもの独立を機に、熟年のご夫妻2人でゆっくり生活を楽しめるよう、築20年経った戸建て住宅をリフォーム。特に配慮したのが長い時間を過ごすはずのダイニングキッチン。ご夫妻には、全体のインテリアを杉板張りにしたいとの要望がありましたが、火を使用するキッチンの内装材には制限があるので、キッチン部分には燃えにくい材料を使うことにしました。ところが高齢期になった時の安全性を考えて、調理コンロを火が出ないIHクッキングヒーターにする案が持ち上がりました。調理コンロをIHクッキングヒーターにすると、キッチンが火器使用室ではなくなり、要望通りダイニングと連続する天井や壁にも杉板を張ることができるため、IHクッキングヒーターを採用することになりました。

【ポイント】
調理用加熱機器をガスコンロにした場合は、キッチンとダイニングの間に50cm以上の垂れ壁を設け、キッチンの壁や天井の仕上げにはプラスターボードなど、建築基準法で決められた燃えにくい材料を使わなくてはいけません。垂れ壁をつけたくない場合は、ダイニングキッチンすべての壁と天井に燃えにくい材料を使います。

事例

解説

火を使う場所の内装制限
キッチン、または暖炉のあるリビングなど、「火を扱う部屋」の内装は、建築基準法で定められた燃え難い材料で仕上げなければならない。

【制限をうける場所】
内装制限を受ける範囲は火を扱う部屋の壁と天井。

制限をうける場所

ただし、住宅においては、キッチンなど火を扱う部屋が「平屋の建物にある場合」や「2階建ての2階部分など建物の最上階にある場合」にはこの制限を受けない。

制限

さらに、マンションなど耐火構造の壁で防火区画されている住戸の場合には他の住戸に燃え広がらないと考えられるため、この制限は受けない。
また、事例のようにキッチンの加熱機器としてIHクッキングヒーターを使用する場合は、炎が出ないのでこの制限を受けない。
建築基準法のこれらの制限以外に、消防法で壁とコンロは15cm以上、コンロ上部のグリースフィルターとコンロは80cm以上離さなければならないと定められており、上部吊り戸棚の材料も一定の範囲で制限を受ける。

【燃えにくい材料】
建築基準法では、キッチンなど火を扱う部屋の内装を仕上げるための材料として、燃えにくい素材を「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材」として定めている。
これは、万一火災が発生した場合に延焼を防ぎ、避難する時間を確保するため。
この「不燃材料」は20分以上、「準不燃材料」は10分以上、「難燃材料」は5分以上、炎で加熱しても燃えださず、しかも変形したり溶けたり、亀裂が入ったりせず、さらに有害な煙やガスを発生させないもの。

燃えにくい材料
シックハウス症候群への対策限

【シックハウス症候群とは】
新築住宅やリフォームしたばかりの住宅に入ると、目がチカチカしたり、喉が痛くなったり、めまいや吐き気、頭痛がすることがある。こうした症状を、シックハウス症候群と呼び、新しい建材や家具から発散する化学物質が主な要因とされる。症状を引き起こす可能性のある化学物質としては、ホルムアルデヒドやVOC(トルエン、キシレンその他)などの揮発性有機化合物が考えられ、これらの化学物質の濃度が高い部屋に長期間居ると、健康を損なう危険性が高くなる。

シックハウス症候群とは

【内装材の制限】
国は、シックハウス症候群の発生を防ぐため、平成14年に法律による規制を設け、内装仕上げに使ってよい材料の制限や機械換気設備設置の義務化を決定した。
ホルムアルデヒドを発散する恐れがあるものとして、合板や木質系フローリング、壁紙、接着材など17品目について、表のような4つのランクに分けている。
なお、ガラスやタイル、天然石材、しっくい、ムクの木材などは、ホルムアルデヒドの発散がほとんど認められないことから、規制対象外建材と同様に無制限に使用できる。

[建築材料の区分と内装仕上げの制限]

ホルムアルデヒドの発散速度名称JIS、JASの規格内装仕上げの制限
0.005mg/m2h以下規制対象外建材F☆☆☆☆制限なし!
0.005mg/m2h超
0.02mg/m2h以下
第3種
ホルムアルデヒド
発散建築材料
F☆☆☆使用面積を制限
0.02mg/m2h超
0.12mg/m2h以下
第2種
ホルムアルデヒド
発散建築材料
F☆☆使用面積を制限
0.12mg/m2h超第1種
ホルムアルデヒド
発散建築材料
無等級使用禁止!
出典:「建築物のシックハウス対策マニュアル」
編集:国土交通省
独立行政法人建築研究所
日本建築行政会議
シックハウス対策マニュアル編集委員会
建築材料の区分
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