リフォームに関する法律

建築基準法の基礎知識

リフォームの場合でも適用される法律です
建築基準法では、建築物の敷地、構造、設備、用途に関する最低限の基準を定めています。この法律はいわゆる状態規定といい、建築主は所有する建物を常にこの法律に適法にしておく必要があります。当然リフォームを行う際も例外ではありません。
大規模なリフォームの場合は確認申請(役所への届出)が必要です
軽微なリフォームは必要ありませんが、部屋を増築したり、構造耐力主要な部分の過半を改修するなど大規模なリフォームは確認申請が必要な場合があります。確認申請とは、役所が建築基準法に適法であるか確認する手続きですが、これから計画されるリフォームで確認申請が必要かどうかについては、役所や建築士の方にご相談ください。
家を建てた後で法律が変わったら
建築基準法は、社会的な要請に応じて過去何度か改正されています。目的は様々で、技術の進歩等により規制が緩和される場合がある一方で、地震や火災により大災害が発生した場合は規制が強化されることもあります。前者の場合は問題なのですが、注意したいのが後者の場合で、家を建てたあとに規制が強化されてしまうと、改正後の法律に合わない場合がでてきてしまうことがあります。

建築主は基準を守る義務がありますが、規制が強化されて「おたくの家は違法です。直ちに適法してください」と言われても困ってしまいます。このため、基準法では適用除外条項が設けてあり、規制強化時点で既に建っている建築物は、改正前の基準に適合していればいいことになっています。これがいわゆる「既存不適格建築物」といわれているもので、名前からすると違法建築のようにも見えますが、法律上は適法とされ違反建築とはなりません。しかし、既存不適格建築物であっても、大規模なリフォームを行う場合は、確認申請が必要となり、その場合は全てにおいて現行法規が遡及されます。築年の古い家をリフォームする方は注意が必要です。
ヒント1-役所への届出 ヒント2-中古住宅購入時の注意点 ヒント3-既存不適格建築物と違法建築物の違い

建物の構造、設備等に関する規制 (建築基準法における単体規定)

構造安全に関すること
建築物は、地震等に対して安全な構造として一定の基準に適合するものでなければならないと定められています。このため、既存建物の柱や梁の位置を変えるようなリフォームの場合は、確認申請が不要であっても建築士とよく相談して、構造上問題がないかどうか確かめておく必要があります。
防・耐火に関すること
防火地域や準防火地域として指定されている区域に住宅がある場合、建築物の階数や面積によっては外壁等を耐火構造等燃えにくいものとする必要があります。外装材を変更する際等は材料の選定に留意する必要があります。また、敷地境界に向けて窓等の開口部がある場合、敷地境界から1階にあっては3m、2階以内にあっては5m以内にある場合(これを基準法では「延焼のおそれのある部分」といいます。)は防火戸とする必要があります。
環境、衛生に関すること
居室(居間や寝室、子供部屋等で、トイレや風呂等一時的に使用する部分は除きます)には、採光や換気のために、床面積に対して一定の割合の大きさの窓等を設置する必要があります。また、近年では、シックハウス対策のために、室内に使用する建材において、ホルムアルデヒドを発散する建材の使用が制限され、24時間換気が義務付けられました。このため部屋の大きさを広げたり、部屋を追加したりするリフォームの場合は注意が必要です。
日常安全に関すること
日常安全に関することはあまり基準化されていませんが、階段を例にとりますと、階段幅や踏み板の高さや大きさ(蹴上げ、踏面)、手すりの設置義務などの基準があります。
ヒント4-建物の面積 ヒント5-居室の条件 ヒント6-内装の制限 ヒント7-外装等の制限 ヒント8-昇降設備の設置

敷地周辺への配慮等に関する規制 (建築基準法における集団規定)

床面積に制限があります
基準法では、敷地面積に対する建築物を建てる部分の面積(「建ぺい率」といいます。)、及び敷地面積に対する延べ床面積の割合(「容積率」といいます。)について、制限があり、都市計画によって、地域毎に上限の数値が定められています。増築する場合は、この定められた数値以下に抑える必要があります。
高さも制限がある場合があります
都市計画では地域によって、建築物の絶対高さ(10mか12m)の制限があります。また建築物の各部分は、道路幅員、隣地境界線などから高さが制限されています。
自分の敷地内でも増築できない場所があります
道路の幅員は4m以上と建築基準法で定められていますが、この法律ができる昭和25年以前からの古い住宅地などでは、敷地の面している道路の幅員が狭く、4mに満たないこともあります。この敷地に増築する場合や建て直す場合は、防災上から、4mの道路幅を確保するために、道路の中心線から2mの範囲には建築することができません。また、第1種や第2種の低層住居専用地域内では、外壁から敷地境界線までの最低距離が定められている場合もあります。
この他、斜面地に建つ住宅斜面地に建つ住宅では、崖や擁壁(ようへき)から一定の距離を離して建物を建てなければならない規定があるので、敷地に余裕があっても増築できないこともあります。擁壁が構造基準に適合しているかなど、専門家による十分な調査が必要です。
地域の住環境への配慮が求められる場合があります
風致地区に建つ建物については、地区ごとに建物の高さや規模、建物の位置や形態、屋根、外壁などの色彩の基準が定められています。リフォームする際にも周辺地域との調和に配慮しましょう。
また、建築協定区域内においては、地区の権利者が独自に道路や隣地からの外壁後退や、構造、形態、意匠の基準を定めているので、増築やリフォームをするときには、協定の詳細を確認してみる必要があります。

その他の法律について

地方条例
都道府県や市町村においては、建築基準法に加えて条例で建築物の構造、設備等について規制を行っているところもあります。詳しくは地方公共団体のHP等でご確認下さい。
消防法
消防法は、建築物の火災を予防するため、消火器や火災警報装置など消防設備等の設置に係わる基準が定められています。建築基準法同様、一定の規模以上のリフォームを行う場合は現行法の遡及を受けます。

マンションの場合には、区分所有法や管理規約などに留意しておくことが重要です

区分所有法
マンションのリフォームの場合、原則としてリフォームが可能な部分は区分所有法で定める専有部分のみとなります。
管理規約・使用細則
最近では管理規約や使用細則の中で専有部分のリフォーム工事に関する取り決めなども定められていることもありますので、事前に確認しておくことが重要です。
ヒント9-マンションリフォーム
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