第43回住まいのリフォームコンクール 入賞作品

入賞者一覧 概要

公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター理事長賞

小豆島町空き家資源活用住宅 2号神懸通

設計会社 小豆島町住まい政策課 地域おこし協力隊
施工会社 (有)植松工務店
所有・建方形式 賃貸一戸建
構造 在来木造
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リフォームの動機/設計・施工の工夫点など

小豆島町には2000件以上の空き家がありながら、移住者が すぐに住める状態のものは限られている。そこで町による空 き家の転貸・改修事業が開始され、私は地域おこし協力隊とし て物件選定、設計監理に携わった。
改修候補として通りに面した築50年程度の空き家と、その奥 に建つ未接道の空き家の2物件が選定されたが、手前の家だ けを使用すると奥の家の活用が困難となること、手前の家の 一部が蟻害が酷かったことから、2つの家を敷地をまたいで一 体化する提案とした。渡り廊下の増築によって2棟を繋いで中 庭を囲む構成とし、中庭への抜けや視線を意識して諸室の改 修を計画した。渡り廊下は既存建築の増築にも使われていた 波板の要素を引き継ぎ、仕上げの省略や採光によって圧迫感 のないつくりとした。
床や壁など仕上げ工事の一部はDIYワークショップによって 地域住民と取組んだ。さらに本事業は住まい手によるDIYが 可能な仕組みを取り入れており、仕上げ工事は最低限とし、比 較的状態のいい離れはなるべく手を付けないなど、さまざま に余白を残した改修としている。

性能向上の特性
特に配慮した事項
・ 減築、基礎新設、耐力壁設置により耐震性能を1.0以上にした。
・ 白蟻被害部分を撤去した ・ 給湯器や浴室など水回りの設備更新を行った。
リフォーム前
リフォーム前後の平面図

物件概要
所在地 香川県小豆島町 新築竣工年 1959年 築後年数 67年 施工期間 150日間
該当工事床面積 134.41 �� /総工事床面積 134.41 �� 該当部分工事費 1,000〜2,000万円 /総工事費 1,000〜2,000万円
賃貸一戸建
居住者構成 賃貸のため未定(子育て世帯を想定)
講評

香川県小豆島町では、年々進行する高齢化・人口減少と連動して空 き家の増加が問題となっており、その数は2,000軒を超えている。町 としては、20年ほど前から移住施策に積極的に取り組んでおり、空き 家バンク制度を介して移住希望者と住宅所有者とのマッチングを支援 している。条件の良い住宅は売買や賃貸の契約につながるものの、す ぐに住める住宅が不足している点が大きな課題であった。長年の放置 により老朽化した空き家は、動物や害虫の棲み着き、不審火や倒壊、 地域景観の悪化等のリスクをはらんでいる。また道幅が狭く入り組ん だ場所では、一度取り壊してしまうと新築できないという問題も抱え ている。そこで、2024年から民間所有の空き家を町で借り、地域おこ し協力隊として参加している設計士が改修し、移住希望者に貸し出す 「空き家資源活用住宅」の整備が始まった。所有者から町へは無償賃 借となるが、町が住宅を耐震補強や設備改修をして貸し出し、改修費 用は入居者からの賃料と補助金でまかなわれる。借り上げ期間中は固 定資産税が減免され、改修された住宅は借り上げ期間終了後に所有者 に返却される制度となっている。本作品は、その空き家資源活用住宅 の2軒目となる。

南側の通りに面した築67年の家とその奥の北側に立つ未接道の家が 改修対象として選定された。奥の家も所有者が同じであるが、単体と して残しておくと取り壊し後に建て替えができなくなる。そのため、 敷地をまたいだ渡り廊下の増築により2棟を繋ぎ、手前の家の裏庭を中 庭として囲む計画となった。南側の母屋では大幅な間取りの見直しが 行われ、東側の蟻害のひどかった部分を減築し、駐車場としている。
また、和室と広縁を一体化して天井を外し、小屋組の見える大空間と なったリビングが母屋の中心となった。リビングから渡り廊下を通っ た先にある離れは、不要となったキッチンを洋室化した以外は、従来 の間取りを活かした構成となっている。中庭には納屋として使われて いた小屋があり、洋室として使用できるようになっている。基礎新設 と耐力壁の追加により耐震性能を1.0以上とし、給湯器や水回りの更新 が行われている。

外装と内装は基本的にオリジナルを活かし、意匠的な介入は最小限 に抑えられている反面、入居者が自由に手を加えられる余白を残して いる。建築費を抑えつつ入居者が愛着を育むことのできる仕掛けであ るが、移住者にとっては、賃貸住宅をDIYでアレンジして生活できる ことが空き家資源活用住宅魅力の一つとなっている。入居者だけでな く、長年土地に住んでいる人も参加できる専門家によるDIYワーク ショップが開催されており、新旧の住民を繋ぐ役割も果たしている。

以上により、本作品は移住希望者の住居不足と空き家の有効活用に 関する課題の解決が図られており、住宅ストックの活用の幅を広げる 優れた取組みとして、住宅リフォーム・紛争処理支援センター理事長 賞にふさわしいものと認められる。

※受賞案件の設計・施工に表示される組織名・会社名などは受賞当時のものを表示しています。
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