第43回住まいのリフォームコンクール 入賞作品

入賞者一覧 概要

審査委員特別賞

空き室活用で支える まちの生命線

設計会社 コープ住宅(株)
施工会社 コープ住宅(株)
所有・建方形式 賃貸共同建
構造 RC 造
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リフォームの動機/設計・施工の工夫点など

きっかけ▶ 市の住環境支援事業「REHUL(リーフル)」の一 環として行われた改装工事。路線バス会社が依頼主となり、 市外から転入する新規採用運転士の社宅として活用するた め工事が行われた。全国的に深刻化する運転士不足により、 路線バスの減便・廃止が進む中、本物件では、空き室活用と 運転士の確保、公共交通の維持という複数の社会課題の解 決に取り組んでいる。

工事の工夫点▶ 工事内容は、浴室修繕、内装改修、照明 ・エアコンの設置、設備機器の修繕等。コストを抑えつつ、 暮らしに必要な設備を整えることを目的としている。大きな 間取り変更は行わず、内装に工夫を凝らし、住戸ごとにコン セプトを設定。故郷を離れ海外から働きに来る入居者にも 配慮し、母国を感じられる要素や多様な色合いを取り入れ ることで、居住者が好みに応じて選べる住空間としている。

成果▶ 今回の提案は依頼主及び居住者から好評を得て おり住戸の付加価値向上につながっている。2024年度に10 戸、2025年度に23戸の改修を実施し、2026年度も継続し て工事を行う予定。

性能向上の特性
特に配慮した事項
耐久性能・室内空気環境:内装・設備機器改修、健康に配慮した建材の採用
賃借人満足度向上:多様なインテリアパターン設定により幅広いニーズに対応
リフォーム前
リフォーム前後の平面図

物件概要
所在地 兵庫県尼崎市 新築竣工年 1971年 築後年数 55年 施工期間 30日間
該当工事床面積 40 �� /総工事床面積 1320 �� 該当部分工事費 100〜300万円未満 /総工事費 3,000万円以上
賃貸共同建
講評

尼崎市の市営住宅の住戸リフォームである。地元の路線バス会社が 改修した48戸の住まいが、自社のバス運転士の社宅として利用されて いる。工事内容は、大きな間取りの変更は行わず、浴室修繕、設備機 器の修繕、照明器具・エアコンの設置と内装改修であるが、特に内装 には工夫を凝らしている。

入居者には日本人もいるが、ネパール、フィリピンなどからの外国 人も多い。多様な入居者の好みに応えられるよう、「モンドリアン」 「ナチュラル」「オリエンタル」「ナチュラルモダン」「和モダン」 「マリン」など豊富な内装のテイストを用意している。コストの関係 で工事内容が限られるだけに、カラーコーディネートの効果は大きい。 入居時に、自分好みの部屋を選ぶ楽しさもあるようだ。バス運転士は いま各地で希少な人材だが、この住まいの存在が入社の決め手になっ たケースも少なくないという。

この一連のリフォームは、尼崎市が地元の生活協同組合「コープこ うべ」を中心とした支援団体との協働で進める、あまがさき住環境支 援事業「REHUL(リーフル)」のもと実施されたものである。建て替 えを控え、新規入居者の募集を停止した市営住宅では、空き家が増え、 自治会の活動が停滞したり、一人あたりの共益費の負担が重くなった りという課題が生じる。そうした空き家を様々なかたちで有効活用し、 地域課題の解決や困難を抱える人たちの支援につなげていこうとする のがこの事業である。

実際、この路線バス会社とのプロジェクトでは、清掃や草むしりな どの自治会活動に入居者(様々な国籍の運転士たち)が参加し、高齢 化が進む団地の若い担い手として地域を支え始めている。このように 多国籍化する団地では価値観や生活習慣の違いによるトラブルも懸念 されるが、ここでは多言語に堪能な社員がコーディネーターとして入 居し、既存住民とのつなぎ役となっている。現在は全員が単身者だが、 生活が軌道に乗れば母国から家族を呼び寄せる入居者なども出てくる だろう。

空き家の増加による団地コミュニティの衰退と、バス運転士の不足 による交通インフラの脆弱化。この2つの解決を公営住宅の目的外使用 で同時に図るこのプロジェクトの先見性と社会的意義を高く評価した。 以上により、本作品は審査委員特別賞に相応しいものと評価できる。

※受賞案件の設計・施工に表示される組織名・会社名などは受賞当時のものを表示しています。
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