
独立行政法人 住宅金融支援機構理事長賞【住宅リフォーム部門】
一人住まいになった父を思う、娘からのリフォーム提案
| 設計会社 |
(株)育暮家はいほーむす |
| 施工会社 |
同上 |
| タイプ |
持家一戸建 |
| 構造 |
在来木造 |
リフォームの動機/設計・施工の工夫点など
◆リフォームの動機 離れて住む娘さんが、早期退職し祖父の自
宅介護を終え、一人暮らしとなった父の健康と安全を心配して。
◆設計施工の工夫 健康と省エネ、耐震の定量的提案
�”磴伴族箸悗硫搬欧了廚い魘ν�し、ハードとソフトの安心安全。
�▲魯供璽匹寮�い出しと温熱環境を含めたリスクインスペクション。
��寝室を含む生活エリアを断熱区画。 �さ豺�縁開放し日射取得。
�ジ軸悗魏硬戮離丱奪侫ゞ�間に。(断熱引戸採用 熱貫流率2.91)
�Ψ鮃�室温維持と暖房消費エネルギーの削減。
��東南海地震に備える耐震補強(静岡県補助金活用)
��地元森林素材の活用(フローリング、天井板、構造、造作材など)
��経年の良さは生かす。 ��既存リフォーム済み部分の温熱改善。
◆施主の感想、満足度 断熱区画のおかげで昼も夜も快適です。
和室2室と台所が一つになって開放的になり、動線もスムーズです。
あちこちに木の風合いが活かされいて温かい気持ちになります。
◆住宅の価値向上 《BELS 取得で性能価値の見える化》
地域森林資源活用と静岡の気候特性を生かし、健康促進。
| 性能向上の特性 |
温熱性能、耐震性能、耐久性能、
バリアフリー性能、室内空気環境 |
| 特に配慮した事項 |
高齢期の健康維持の為の生活断熱エリアの冬季(11月〜3月)室温最低15℃、
平均21℃で、暖房消費エネルギー820kwh。UA値0.47 C値2.5(実測値) |
リフォーム前
リフォーム前後の平面図
物件概要
| 所在地 静岡県藤枝市 |
新築竣工年1979年 |
築後年数 42 年 |
施工期間 90日間 |
| 該当工事床面積 76.9 �� /総工事床面積 76.9 �� |
該当部分工事費 2250 万円 /総工事費 2250 万円 |
| 居住者構成 65 歳以上:1 人 / 40 〜 64 歳:0 人 / 15 〜 39 歳:0 人 / 14 歳以下:0 人 / |
講評
本作品は、高齢で一人暮らしとなった父のために、娘から提案された実家のリフォームである。父は早期退職をして祖父の自宅介護に当たっていたが、介護を終えて一人暮らしとなった。静岡にある実家は祖父母が約40年前に建てた木造住宅で、東南海地震が発生した場合は倒壊の恐れがある。また、断熱性能の低さからくる冬の寒さには、多くの暖房機器を稼働させることで対処していた。高齢期の寒さは、急激な血圧の変化や住宅内の行動範囲を狭める要因となり、健康への影響が大きい。同じ住宅に長年住み続けている父にとっては、不便さや不快さも日常の一部であり、現在の新築住宅の水準から見た性能の低さには気づきにくい状況であった。そこで、遠く離れて暮らす娘が父の安全と健康を案じ、住宅の性能を大幅に改善させるリフォームが提案された。また、将来的に身体機能が低下してきた状況や、介護が必要になった時にも対応できる間取りへと変更された。
まずは防蟻処理と耐震補強を行い、構造耐震指標Is値が0.61から1.03まで改善された。そして、1階の寝室を含む生活エリアの断熱および気密の区画を行い、リフォーム済みであった浴室とトイレは外壁を剥がして工事をすることで断熱性能の均一化が図られた。その結果、外皮平均熱貫流率UA値で0.47 W/(�屐�K)、相当隙間面積C値で2.5 c��/�屬涼杷�等級4を達成している。今後の父のライフスタイルを反映したエネルギーシミュレーションでは、最低室温18℃を維持しながら1階の断熱区画内をオープンな空間として利用しても年間暖房費が22,000円に抑えられる計画となっている。現在は使用頻度の低い2階についても、将来を見据えて天井付加断熱と内窓設置を行い、住宅全体として建物省エネルギー性能表示制度BELSの5つ☆を取得している。
建物東側は隣地境界との離隔距離に余裕がなく、境界のブロック塀のために風通しが悪い状態であった。そこで60cm幅で減築を行い、さらにブロック塀をフェンスに変えることで建物の環境およびメンテナンス性が改善された。また配管を含めた設備の更新が行われ、単独浄化槽から合併浄化槽への入れ替えも行われた。内装は経年変化の良さを残し、白い壁・天井と素地を生かしたフローリングが明るく開放的な空間に変えている。床や造作には地元産出の木材を用い、素材の呼吸を感じる気持ちの良い空間となっている。将来的には、娘の家族が実家に戻って住み継いでいく予定となっている。
長年、家族が暮らしてきた実家の安全性、健康への配慮、省エネルギー性が現在の高水準にまで改善され、資産価値の向上が図られた。これにより、高齢で一人暮らしの父が健康で長く家を守り続け、さらに次の代へと住み継いでいける住宅へと生まれ変わった。以上により、本作品は住宅の性能と資産価値向上が総合的に図られ、今後の住生活の示唆となるものと認められ、独立行政法人住宅金融支援機構理事長賞に値するものとして評価される。
※受賞案件の設計・施工に表示される組織名・会社名などは受賞当時のものを表示しています。