資源を生かした住まい (テーマ別リフォーム事例)
美濃町町家耐震改修工事


この作品は、費用は相応にかかっているが、何もせずに被災した 場合の、復旧費用と精神的苦痛、人的被害にくらべれば、はるかに 安上がりであろう。地震が頻発する昨今、古い木造住宅の耐震改修 が進んでいない現状を見ると、施主・設計者・施工者が一体となっ て、示唆に溢れた実直な作品を生み出したことの意味は大きい。多 くの人の目に止ってほしいものである。
構造 | 在来木造 |
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築後年数 | 250年 |
総工事費 | 3,100万円 (該当部分工事費 3,100万円) |
総工事床面積 | 298.18m² (該当工事面積 298.18m²) |
居住者構成 | 65歳以上: 2人 |


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耐震診断による耐震性能の低さから、耐震改修を行いたいという要望があった。住まい手としては250年残っている建物を後世に残していく責任感もあったようだ。

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本工事は建築基準法が求めるレベルまで耐震性能を上げる為、既存建物をジャッキアップし、新規にてベタ基礎を設置している。耐力壁に関しては、既存の土壁を可能な限り撤去し、構造用合板を始めとする面材にて、風景を変えないように配慮をしながら構成している。
又町家特有の間口が狭く、奥行きの長い形態のため、間口方向に極端に壁が少なかった。伝統的建築物群保存地区のためファサードに壁を増やせないという制約があったため、内部にて光を遮断しない「ひかりかべ」を用い間口方向の壁量を確保している。町家の風景を残す部位と、生活の為の改修を行う部位をエリア分けし、全体の改修を行った。

設計者:神谷建築スタジオ (担当 神谷 義彦)
施工者:松森建設工業(株) (担当 田口 智樹)

