資源を生かした住まい  (テーマ別リフォーム事例)

美濃町町家耐震改修工事

第24回 審査委員特別賞 2007年

持家一戸建 岐阜県美濃市

この作品は、費用は相応にかかっているが、何もせずに被災した 場合の、復旧費用と精神的苦痛、人的被害にくらべれば、はるかに 安上がりであろう。地震が頻発する昨今、古い木造住宅の耐震改修 が進んでいない現状を見ると、施主・設計者・施工者が一体となっ て、示唆に溢れた実直な作品を生み出したことの意味は大きい。多 くの人の目に止ってほしいものである。

構造在来木造
築後年数250年
総工事費3,100万円  (該当部分工事費 3,100万円)
総工事床面積298.18m²  (該当工事面積 298.18m²)
居住者構成 65歳以上: 2人

特に配慮した住宅性能 耐震性能:伝統的建築物の耐震性能を建築基準法レベルまで引き上げることを目標とした。

リフォームの動機

耐震診断による耐震性能の低さから、耐震改修を行いたいという要望があった。住まい手としては250年残っている建物を後世に残していく責任感もあったようだ。

設計・施工の工夫

本工事は建築基準法が求めるレベルまで耐震性能を上げる為、既存建物をジャッキアップし、新規にてベタ基礎を設置している。耐力壁に関しては、既存の土壁を可能な限り撤去し、構造用合板を始めとする面材にて、風景を変えないように配慮をしながら構成している。

又町家特有の間口が狭く、奥行きの長い形態のため、間口方向に極端に壁が少なかった。伝統的建築物群保存地区のためファサードに壁を増やせないという制約があったため、内部にて光を遮断しない「ひかりかべ」を用い間口方向の壁量を確保している。町家の風景を残す部位と、生活の為の改修を行う部位をエリア分けし、全体の改修を行った。

設計者:神谷建築スタジオ  (担当 神谷 義彦)
施工者:松森建設工業(株)  (担当 田口 智樹)

リフォーム前:平面図 リフォーム後:平面図
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