審査委員特別賞
小さく豊かに <実家リノベーション>
| 設計会社 | (株)三友工務店 |
|---|---|
| 施工会社 | (株)三友工務店 |
| 所有・建方形式 | 持家一戸建 |
| 構造 | 在来木造 |
リフォームの動機/設計・施工の工夫点など
【動機】高齢となった両親の今後の生活や、家と土地の管理を考
え、実家での同居を決意したお施主様。親と子の生活スタイル
は変えず、趣味を楽しみ、友人も気軽に遊びに来られる家。そし
て家族全員が安心で快適で、将来の変化にも対応できるリ
フォームを希望されました。
【設計】将来の管理面からあえて居住部の増築はせず、主要構
造部を残したスケルトン状態にして、耐震補強・断熱改修を実
施。プライベートを確保できる程よい距離感の間取りに、窓を
出入り口と捉えた“路地玄関”で、親子の日常を変えることなく、
暮らしは今まで以上に快適になりました。
【感想】“個”を大切にした間取りの快適さ、暮らしやすさはもちろ
ん、断熱性能の高さは想像以上。短時間で家全体が温まるため、
以前のように真冬でも一日じゅうエアコンをつけていることがな
くなりました。両親も快適に過ごしており、とても満足しています。
| 性能向上の特性 | 劣化対策・断熱改修・耐震性・維持管理・ 省エネ・バリアフリー |
|---|---|
| 特に配慮した事項 | 断熱改修 すべての天井・壁・床に断熱充填、気密工事をして、窓は三層ガ ラス樹脂窓を採用 |
リフォーム前
リフォーム前後の平面図

物件概要
| 所在地 熊本県熊本市 | 新築竣工年 1976年 | 築後年数 49年 | 施工期間 180日間 |
| 該当工事床面積 71 �� /総工事床面積 74 �� | 該当部分工事費 2,000〜3,000万円未満 /総工事費 2,000〜3,000万円未満 | ||
| 在来木造 | |||
| 居住者構成 65 歳以上: 2 人 / 40 〜 64 歳: 1 人 | |||
講評
熊本市内の住宅地、高齢になった両親と同居するための実家の戸建
て木造住宅のリフォームである。介護メインの住まいでなく、お互い
の生活スタイルを保ちながら趣味を楽しみ、友人も気軽に呼べる家に
したい。そう考えた施主が尋ねたのは、見慣れたショーホーム(モデ
ルハウス)のある近所の工務店だった。
同居にあたり、施主は増築して住まいを大きくすることをイメージ
していた。しかし、将来の維持管理を見越してコンパクトなまま全面
リフォームすることを設計者は提案。既存の建物をスケルトンまで戻
して、耐震や断熱の性能も抜本的に改善することにした。
設計のヒントは、施主との何気ない会話やふるまいから拾っていっ
た。例えば、日常的な出入りは玄関を使わず庭側の掃き出し窓を使っ
ていたことから、一般的な玄関は設けずに、どこからでも人を温かく
招き入れる構えとした。ダイニングの掃き出し窓に面しては、小さく
増築した外部物置と木格子に囲われた気持ちのいい半屋外空間がある。
この空間を包み込むように屋根は1mほど伸ばし、その軒下には庭を楽
しみながら一杯できる石ベンチを設けた。閉鎖的になりがちな現代の
住まいをまちとゆるやかにつなぐ中間領域のデザインである。
プランは、「個」を尊重した部屋配置や限られた面積のなかでの動
線計画が練られた。ポイントは、滞在時間の長いLDKをいかに大きく
できるか。造作の高さを70cmにそろえてスッキリさせるほか、天井
を低くして空間の重心を下げ、間接照明を組み込むことで、空間を広
く見せる工夫も施されている(天井に張ったモミは、音響、調湿、消
臭効果もある)。居場所は窓辺を中心に設けたため、サッシはトリプ
ルガラスとし、安定した温熱環境をつくった。設計者には話をよく聞
いてもらい、隠れた要望もよく引き出してもらったと施主は振り返る。
現場には施主も当時住んでいた近くのマンションからよく通い、
ゆっくりとした住まいづくりを一緒に楽しんだ。現場には、造作に強
い大工が入った。ベッドにもなるソファ、靴の脱ぎ履き時の手すりに
もなる靴入れ、テーパーの付いたシャープな窓台など、細部までしっ
かりつくり込まれた住まいになった。
このように、将来維持管理していける規模のまま、生まれ育った住ま
いを質の高いストックへと再生させた本作品に審査委員特別賞を贈る。


























