審査委員特別賞【住宅リフォーム部門】
築35年マンションの再生Royal Vessel 鷹匠
| 設計会社 | (同)taat |
|---|---|
| 施工会社 | (株)落合組 |
| タイプ | 賃貸共同建 |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造 |
リフォームの動機/設計・施工の工夫点など
【動機】築35年のワンルームを含む全18戸5タイプの集合住宅を、全12戸7タイプに再編し、占有面積の拡大による居住性と安全性の向上と、共用部の更新により付加価値を高めることを狙った。
【設計・施工の工夫点】既存のワンルーム(約20�屐砲僚燦佑聾誘�壁を取り払い、2戸を1戸とし全戸を40�岼幣紊竜鐚爾箸靴拭2�修前は周辺の物件と差のなかった各住戸のプランは、コロナ禍を経て家での滞在時間が長くなることを想定し、キッチンや浴室等水回りを中心とした回遊性と開放感のあるプランを提案し差別化をはかった。また、ペットを通じた住民同士の交流も期待し屋上を共用のドッグラン、テラスとして計画した。新耐震基準の建物ではあるが、構造的な検証をし、建設時に施工されていなかった耐震スリット、一部柱の根巻き補強などを行い居住者の安全性の向上をめざした。
【施主の感想・満足度】改修前は築35年の周辺と大差ない集合住宅であった。間取りの見直し、構造的な検証も含んだ改修を経て、料理を楽しんだり、ペットと共に暮らしたりと、開放的な家で長く安心して過ごしていただけるようになったのではと喜んでいる。
| 性能向上の特性 | 耐震性能、温熱性能、耐久性能、室内空気環境 |
|---|---|
| 特に配慮した事項 | 占有面積の拡大、構造スリット、一部柱の根巻き補強、外壁面の断熱性向上、 24時間換気設置、家賃価格の増額及ひ゛新規入居者による資産価値向上 |
リフォーム前
リフォーム前後の平面図

物件概要
| 所在地 静岡県静岡市 | 新築竣工年 1989年 | 築後年数 35年 | 施工期間 210日間 |
| 該当工事床面積 667.5 �� /総工事床面積 667.5 �� | 該当部分工事費 15,700 万円 /総工事費 15,700 万円 | ||
講評
賃貸集合住宅の住戸割を大きく変えて狭いワンルームを減らし、コロナ禍を経た需要に合わせたつくりに変貌させた事例である。新耐震以降の建物だったが耐震診断を行った上で必要な補強も実施し、周辺物件と差別化されたことで、資産価値が向上して再生された。
建物は建設されてからオーナーが数回変わっているが、このオーナーになってからも数年が経過し、空き住戸が1/3になる状態だった。オーナーは建築の知識もあり、知り合いである設計者に相談したことで今回の計画がスタートした。居住者の安全性を確保し、付加価値を高めたいという要望だったため、大掛かりなリフォームとなった。駅前の好立地であるためワンランク上の物件になるように「ペット飼育可」「料理を楽しむ」等、家での生活を満足させる設計にしている。以前より賃料が高くなったが、募集後すぐに満室に至り資金回収も計画どおりとなり、オーナーの要望を十分満たした再生計画になった。
計画を始めるにあたり建物の構造と設備が気になるところだが、コンクリート3か所のコア抜きを行い劣化が無いことを確認している。耐震性能としては、耐震バランスを是正するために南側壁面に耐震スリットを入れて補正をし、1階入口の柱根巻きも構造設計担当と検討の上実施している。また断熱はほぼ施工されていなかったので高性能発泡ウレタン40�个鯑眤Δ�ら外周部すべてに行うことで性能が向上し、さらに隣室との境は遮音グラスウールも使用した。設備はガスを導入し、劣化した給水タンクは1階から屋上に移動し新設、配管内部をカメラで調べて劣化していないことを確認した上で室内の横引き配管は全て交換した。設備の更新は工事費の中でも多くの費用を充てたことが推察できた。今回は外壁と窓の変更は予算その他の関係で実施していないが、建物入口の造りは一新され質の高さを感じられる雰囲気を醸しだす事にも成功している。今後は入居中のテナント部分も構造補強を行う予定にしているそうだ。
室内は1住戸約40�屬世�それ以上に感じる工夫が随所に施されている。間仕切り壁や建具を減らし回遊性があり、見渡し良く動作が窮屈にならない印象だ。一部の収納は天井との間を開ける工夫も効果を上げている。特に突板を貼ったゲートを意識したデザインが特徴的で、大きく露わになった梁や天井の高低を意匠に取り込んだ事は視覚的な区切りとして成功している。上記の工夫で全12戸に対して7タイプのバリエーションが作り出され、住戸を選ぶ楽しさを住み手に提供できた成果とともに苦労もしのばれるところである。さらに退去時に更新しにくい部分は耐久性を高め、床材は幅広、キッチンはオールステンレスを採用する等、高額であっても品質高いものを使い、シンプルながらもグレード感を持たせている。またペット飼育可として内装の選定や共用部設備の充実などは、家で過ごす時間を快適に過ごしたい居住者層の取り込みに成功したと言えよう。
こうした大掛かりな再構築に民間で取り組む例はまだ少なく「良い内装と設備で支障がない」「住む人の安全重視」「ストックを生かす」という考えを実現させた好例と言えよう。賃貸住宅の居住水準の向上にも寄与すると判断し、審査委員特別賞として評価した。


















