第40回住まいのリフォームコンクール 入賞作品

入賞者一覧 概要

ミニマルの美学賞【分野別特別賞】

一枚天井でつながる、小さくて広いイエ。<50m²5人暮らし>

設計会社 sasatt design office
施工会社 (株)水雅
タイプ 持家共同建
構造 鉄筋コンクリート造
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リフォームの動機/設計・施工の工夫点など

動機:50屬両さな家に5人家族が豊かに暮らすことは可能か?愛着あるこの家に住み続けたいが、部屋数・収納不足、暑い寒い、設備老朽、窮屈感など課題が山積。子育、老後、生活圏、家賃などを勘案した結果、「リフォームが最適解。チャレンジしよう!」と決断した。
工夫:この家の大きな特徴は11.5m×3.6mの『一枚天井』である。断熱ボード直貼りとすることで、環境性能と天井高の獲得を両立し、天井付近はモノを設置しない余白空間として、広さ感を出した。天井配管から床下・壁配管とすることで、このプランを実現した。浴室のデッドスペースを排除、玄関・廊下などを徹底的に合理化し、各室面積を既存同等としつつRoom3と収納空間を生み出した。
価値:リフォームにより、有効床と家族の居場所が増えた。出窓のテレワークスペース、ベランダと子ども室を繋ぐサンルーム空間など、コンパクトながら「広いイエ」となった。家族の変化にも対応できる。
感想:綿密な調査のうえ設計をしたため、リフォーム完了から1年半とても快適に暮らせている。家で過ごす時間が増えたこと、友達親戚を招く機会が増えたことは、この家への満足の表れである。

性能向上の特性 機能充実(2LDK⇒3LDK、テレワーク対応)温熱性能(東京都世帯上位4%水準)
特に配慮した事項 動作寸法・収納容量など生活を綿密に調査し徹底的に合理化。空間を使い尽くし必要な室と多様な居場所を創出。直貼断熱の一枚天井が小さな家に機能充実と広さ感を実現した。
リフォーム前
リフォーム前後の平面図

物件概要
所在地 東京都豊島区 新築竣工年 1986年 築後年数 36 年 施工期間 90日間
該当工事床面積 50.33 /総工事床面積 50.33 該当部分工事費 1,500 万円 /総工事費 1,500 万円
居住者構成 65 歳以上: 人 / 40 〜 64 歳:2 人 / 15 〜 39 歳:1 人 / 14 歳以下:2 人 / ペット  匹
講評

専有面積50屬如5人家族が快適に暮らせるのか?この難解な問いに見事に答えた住宅である。標準的な間取り・設備・仕様ではほぼ不可能、精密に計画したリフォームだからこそ実現した暮らしである。

子どもが3人に増え、また体も大きくなり、手狭になってきた約10年前に購入したマンションからの近隣への住み替えを検討した。が、周辺相場は高く、予算内で十分な広さを得られる物件はなかった。そんな折、このマンションの隣地に当面の間は建物が建たなさそうな感触が見えてきたため、住み替えるのではなくリノベーションする方針になった。

夫は設計技術者であり、また学生時代から茶室をはじめ、狭い空間に魅力を感じていたことから、狭くてもプランニングや暮らし方の工夫で、快適に暮らせることを実践しようと一念発起。家族にイメージしてもらいやすくするために、模型も制作した。

まず自宅にある家具やモノをリストアップ。しばらく使っていないもの、書籍、CDなどは思い切って捨てた。残すものは、すべて幅・高さ・奥行きを計測して表に一覧化し、それらの配置を詳細検討した。家具や家電の大きさにも驚いた。テレビは20インチ台。掃除機、冷蔵庫、洗濯機、そしてソファも2人用家族のサイズ。置いてある家具や家電が小さいことも空間を広く感じさせる。

その空間をどう広く感じるかの落とし込みは秀逸だ。白やグレーを基調とした広さを感じる色を採用。壁の繋がりが視線上切れないように、また間仕切り壁の高さも天井の手前で止め、空間を残し、天井の連続性が感じられる設計に。見学時に到底50屬箸六廚┐覆すさを感じることができた。また収納についても閉じる収納は寝室のみ、残りは見せる棚収納。また収納量も壁や窓を隠しすぎない程度のボリュームに抑えることで圧迫感がない。広さを感じるにはインテリアも含めた総合的な視点が重要であることを改めて感じた。

また性能向上にも意欲的だ。天井にフェノールフォーム、壁にグラスウールを付加し、内窓を設置して断熱改修を行っている。当住戸は最上階だが夏の屋上からの熱の侵入抑止、また床暖房を追加し、冬の底冷え抑止にも配慮。エアコン3台を設置していたが、天井を続き一体としたことで、ほぼ1台で夜は過ごせるようになったという。

狭さの美学を追求し、広さを感じる細部の工夫を施した50崕擦泙ざ間は、実はその外周に40屬離襦璽侫丱襯灰法爾ある。そこにはオリーブやハーブが植えられ、この庭空間が一段と広さを感じさせる。窓や居室の壁と天井との垂直空間に、小箱を置いたり、壁面を覆わない棚に食器や、小物をおいてインテリアとして楽しんでいる。居心地の良い、小さなレストランや喫茶店のイメージだ。狭さゆえにお子さんに整理整頓が身についた副次的効果もあったという。神は細部に宿る。その言葉を体現したミニマルハウスである。以上のことからミニマルの美学賞として評価した。

※受賞案件の設計・施工に表示される組織名・会社名などは受賞当時のものを表示しています。
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