セカンドライフのためのDIYコンバージョン特別賞【分野別特別賞】
DIYブックカフェ“underneath the tree″
| 設計会社 | 喜多ハウジング(株) |
|---|---|
| 施工会社 | 同上 |
| タイプ | 持家一戸建 |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造 |
リフォームの動機/設計・施工の工夫点など
【動機】ご主人が一人で暮らすお家は奥様との思い出やこだわりが詰まった大切な家。一人で暮らす寂しさもあり、趣味の読書を活かしたブックカフェをオープンしようと決意された。
【工夫点】カフェオープンに向けて、必要最小限の工事を行った
� ̄超筏�可申請のための工事
《キッチン》・床は清掃しやすい塩化ビニル系床材を上張りした
・水栓を1か所追加 ・シンクを2槽に入替(施主設置)
《トイレ》・ドア取付 ・便器の交換(床の大理石は残す)
《その他》壊れた照明・スイッチ類・水栓の補修
��奥様が好きだった北欧系デザイン
・トイレ扉にマリメッコ柄のクロスを張る ・ハンモックやハンギングチェアを取り付ける金具の設置 ・追加で取り付ける照明も北欧デザインに(施主取付) ・本棚の大部分を施主がDIYした
【感想】北欧のインテリアの本や絵本をメインにした古くて新しいブックカフェを作りたくて細かな工事をお願いしましたが、思い通りの仕上がりになって満足しています。
| 性能向上の特性 | 食品衛生法の許可基準を確保する性能 |
|---|---|
| 特に配慮した事項 | 施主のDIYを中心に、DIYでは難しい部分の手助けを行った。ブックカフェとして食品衛生法の許可基準を確保する工事を行った。 |
リフォーム前
リフォーム前後の平面図

物件概要
| 所在地 石川県金沢市 | 新築竣工年 1995年 | 築後年数 27 年 | 施工期間 10日間 |
| 該当工事床面積 62 �� /総工事床面積 62 �� | 該当部分工事費 95 万円 /総工事費 95 万円 | ||
講評
長年連れ添った奥様を亡くし、単身となったご主人による、思い出やこだわりの詰まった我が家のコンバージョンである。
農業を営むご主人は、田畑やビニルハウスが広がる田園風景のなかで暮らしている。プレキャストコンクリートパネルでできたその住まいの2階で、夫婦の趣味だった本や北欧インテリアを生かしたブックカフェづくりが日々進んでいる。
自然科学や北欧デザインの本、奥様との思い出の絵本で部屋を埋め尽くす本棚は、仕事柄、大工道具の使い方にも慣れているご主人がDIYでつくった。本棚の転倒防止など、安全上重要な部分は大工のサポートを受けて進めたが、その他、素人ではできない部分については、デザインに定評のある地元のリフォーム会社を頼った。本来、住宅以外は手がけない会社だったが、施主の強い思いに動かされ、必要最低限の工事を行うことで、このプロジェクトを支えた。1階エントランスのトイレは、奥様が好きだった北欧テキスタイルの輸入クロスを貼ったハンガードアに交換した。また、ダイニングキッチンだった部屋には、保健所対応のためのシンク増設や水栓の更新、床仕上げの上張りを施し、カフェが開設できる設えとした。壁面には、機能とデザインにこだわったキッチンセットと、奥様が集めたこだわりのキッチン用品が並んでいる。本の森に囲まれながら、ご主人が丹精込めて育てた有機野菜の生サラダやパン・コーヒーと一緒に、ゆっくり読書を楽しむことができる、居心地のいい空間が生まれている。
実は、この建物の隣にはもう一棟、大きな木造家屋が建っている。現在はご主人が料理や食事をするために利用しているが、もとは奥様と同じ年に他界したお母様の住まいだった。ご主人が「何かをやらずにはいられなかった」「自分の居場所を確かめたかった」「これに一年間集中することで解放された」と語るように、このDIYリフォームは、愛する家族を立て続けに亡くした深い失意を乗り越えるための作業だったといえる。
ブックカフェは、農閑期となる秋と冬に開ける。現在は、ようやく迎える秋のオープンに向けて、玄関脇に小さなギャラリーを手づくりしている最中である。金沢のこの地で、このオーナーならではの、趣味でつながる新しい空間がどう育っていくか、楽しみである。
ブックカフェを開く夢は20代の頃からあったという。その夢をかたちにし、第二の人生をスタートさせるためのプロジェクトである。DIYやリフォームは、長い人生のなかで立ち止まり、前を向くための時間を与えてくれるものにもなる。そのことを気付かせてくれるこの作品を、「セカンドライフのためのDIYリフォーム特別賞」として評価した。

















