第38回住まいのリフォームコンクール 入賞作品

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一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会会長賞 【住宅リフォーム部門】

重ねの家

設計会社 (株)オノコム
施工会社 佐原建築
タイプ 持家一戸建
構造 在来木造
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リフォームの動機/設計・施工の工夫点など

築50年の中古木造住宅の耐震改修で、夫婦子供2人の自邸。素朴で風合いの良い家とするため、塩ビクロスは使用せず、傷や汚れは是とし、過去の職人の手仕事が意匠となる、軸組みを表しにした新旧の時間的な重ねを考えた。
日当たりが良く、明るい室内を希望していたが、南面に下屋付きであった為、2階直下部分の暗さを解消する必要があった。そこで、2階床南側を吹抜・簀子とし、2階南側全面に既製品の外付サッシを並べ、自然光を階下まで引き込んだ。
改修にあたり、既存瓦屋根を補修し、スケルトンにした。
耐力壁は、2階キャンチ部分を解消し四隅に壁を設け、直下率を高め、室内は構造用合板を表しにした。
建具は既存引戸も再利用し、使い勝手と視線の遮りを自在に操作できるようにし、突然の来客等にも対応出来るようにした。時間的な重ねと、構造材と建具等の物的な層の重ねを組み合わせ、豊かな空間が得られたと思う。今後、自身らで手を加え、愛着を持ってくれればと思っている。

性能向上の特性 耐震性能、耐久性能、温熱性能、 防犯性能、室内空気環境
特に配慮した事項 基礎を新設し、Is値1.5以上を確保。蟻害、腐朽部分は全て交換。既存サッシ は撤去・新設し、Low-E・防犯ガラスを使用。天井・壁・床に断熱を充填。
リフォーム前
リフォーム前後の平面図
物件概要
所在地 静岡県湖西市 新築竣工年 1971年 築後年数 50 年 施工期間 180日間
該当工事床面積 104.75 /総工事床面積 104.75 該当部分工事費 2500 万円 /総工事費 2500 万円
居住者構成 65 歳以上:0 人 / 40 〜 64 歳:1 人 / 15 〜 39 歳:1 人 / 14 歳以下:2 人 /
講評

この住宅は、静岡県湖西市に建つ築後50年となる戸建て住宅で、売主は壊さずに残して使ってくれる買主を希望していた。立地を気に入ったこともあり、他の古民家の解体時に譲り受けた建具を活かせる住まいを考えていたご夫婦と2人の小さなお子さんのご家族が、この住宅を購入することとなった。設計士である施主と工事を請け負った工務店が綿密に打ち合わせを繰り返して半年かけてリフォームを行い、施主の希望どおりの快適な暮らしができる住宅を完成させた事例である。
築50年の住宅であるため、耐震性能を強化して安心で安全に暮らせることがご家族の一番のご希望であった。そのため、工事はスケルトンにした上で躯体の補強等を行い、構造耐震指標Is値が0.04から1.52まで大幅に向上された。また、長年の劣化、蟻害や腐朽により痛んだ材を取り替えて耐久性能も改善された。併せて、無断熱の状態から断熱材の充填や断熱性の高い開口部へ変更して外皮熱性能の向上が図られた。
希望していた明るく風通しの良い住まいを実現するため、2階の南側立面が全面窓に変更された。そして、その下にあたる2階床部分を吹き抜けにすることで風と光の採り入れの最大化が図られた。これにより、暗くなりがちな1階中央のリビング・ダイニング・キッチンに光を注ぎ、明るい空間を創り出している。吹き抜け部の上面は、建具の交換により季節ごとに快適な室内空間をつくれるようにし、豊かな暮らしを演出している。冬はアクリルパネルを設置して冷気の流れを遮断しつつも光が差し込み、夏は簀の子パネルを設置して空気と光を1階へ運んでいる。
1階は天井高2.8mの一室空間になっており、季節の変化や家族の成長に合わせて建具で空間の仕切りかたを変更できるようになっている。
建具は、欄間部分だけで約70cmある上下2段の引き戸に分かれており、大きく開放することで住宅全体の風通しを良くする工夫がされている。現在は1階を中心とした生活になっており、2階を利用するのは施主の在宅ワークなどに限られている。将来は、お子さんが大きくなったときに子供部屋にする計画となっている。
無垢材を表しにした家に住みたいとの施主の要望があったため、壁面にはビニールクロスを使用せず、室内側に面する素材は施主が好むラワン構造用合板の表し仕上げにしている。また、譲り受けた古材や既存の建具を利用しており、時代を超えた新旧の「時間的な重なり」を住宅内の各所で表現している仕上がりになっている。ここにこれから成長していく家族の時間が加わり、生活に応じた空間の仕切りかたを可能にする建具が「物質的な重なり」となっている。
以上のように、耐震性能などを向上させる工事を行い、2階南側に吹き抜けを設けるなど風と光を取り入れた快適な室内環境を作り出しており、リフォームにより建物の長寿命化が巧みに図られているため、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会長賞に値するものと評価される。

※受賞案件の設計・施工に表示される組織名・会社名などは受賞当時のものを表示しています。
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